ウォールドガーデンとオープンインターネット:いま求められる広告主のブランドセーフティ視点

デジタル広告出稿を検討する際、「ウォールドガーデン」と「オープンインターネット」という言葉を耳にする機会は多いでしょう。両者の違いは、単に広告の出稿先が「巨大プラットフォームか、それ以外か」というだけではありません。それぞれの特性を理解することは、広告効果を最大化するための戦略に直結します。今回の記事では、ウォールドガーデンとオープンインターネットを正しく理解し広告効果の最大化を目指すため、オープンインターネットでのブランドセーフティについて解説します。
ウォールドガーデンとオープンインターネットとは?
ウォールドガーデン(Walled Garden)は、その名の通り「壁に囲まれた庭園」を意味し、巨大IT企業が自社サービス内で構築し、外部のアドテクサービス等が介入することのないエコシステムを指します。代表的なのは、Google(YouTube含む)やMeta(Facebook、Instagram)、Amazonといったプラットフォームです。
一方、オープンインターネットとは、ウォールドガーデンに属さないすべてのウェブサイトやアプリを指します。ニュースサイト、専門メディア、ECサイト、ブログ、アプリなど、その種類は多岐にわたります。
デジタル広告戦略における機会損失
今、多くの広告主が、その予算の大半をウォールドガーデンに集中投下しています。この戦略は、限られた環境での効率性を追求する一方、デジタル広告の全体像を捉えきれていないという課題を抱えています。
The Trade Deskの調査では、61%のユーザーがオープンインターネットに時間を費やしている一方、21%しかマーケターがオープンインターネットに広告費を投資していないことが示されています。

ユーザーはウォールドガーデン内で多くの時間を過ごしますが、実際には、アプリ、ニュースサイト、専門メディア、ECサイトといった広大なオープンインターネット上で、それ以上に多くの時間を費やしています。ウォールドガーデンへの投資も重要ですが、それに偏重することは、より広範なユーザーとの接触機会を逃すことにつながります。
例えば、ウォールドガーデンの代表格である大手SNS。UNICORNが実施したインクリメンタルリーチの調査結果では、SNS広告だけではリーチできないユーザーが、UNICORNでリーチ可能なオープンインターネット上に数多く存在することが明らかになっています。

上記の通り、オープンインターネットにはユーザー接点が多数あるにもかかわらず、「どんなサイトに広告が表示されるかわからない」「ブランド毀損のリスクが高い」といった懸念から、オープンインターネットへの広告出稿について、ためらっている方は少なくありません。
しかし、ウォールドガーデンだけが本当に安心できる場所なのでしょうか?近年、ウォールドガーデンでもなりすまし詐欺広告や不適切なUGC(ユーザー生成コンテンツ)での広告表示が問題視されています。
今や、オープンインターネットかウォールドガーデンかに関わらず、デジタル広告を扱う上で正しいブランドセーフティの知識は必要不可欠です。この後、オープンインターネット上でできる具体的なブランドセーフティ対策について解説します。
オープンインターネットでのブランドセーフティ対策広告費の発生タイミング
まず、ブランドイメージが毀損されないようモニタリングすべき項目は、メディア、ページ/コンテンツ、広告枠の3つです。それぞれについて対策とともにご紹介していきます。

1 )メディア
一つ目はメディアです。
広告が、違法コンテンツやテロ組織などの不適切メディアに配信されると、ブランドイメージが深刻に毀損されるリスクがあります。これは、単にブランドイメージを損なうだけでなく、社会的な信頼を失うことにもつながります。また、最近では、MFA(Made for Advertising)と呼ばれる、広告収益のためだけに作られた質の低いウェブサイトが問題視されています。このような悪質団体の運営するメディアに意図せず広告が配信されることで、健全な広告エコシステムを阻害し、結果的に広告主の費用が悪質な団体に流れてしまうリスクがあります。総務省の広告主等向けガイダンスでも、こうした不健全なエコシステムへの加担リスクについて言及されており、広告主として適切な対策が求められています。
現在、最も効果的な対策の一つに、「セーフリストの適用」があります。これは、あらかじめ審査し承認された、ごく限られた「安全なメディア」にのみ広告を配信する方法です。
不適切なメディアやMFA(Made for Advertising)サイトをまとめて除外するブロックリスト方式は広く使われていますが、これには限界があります。悪質なメディアは日々大量に生成されており、新しいドメインや手口でブロックリストの網をすり抜けることが珍しくありません。技術の進化によって、その巧妙なすり抜けを見抜くことはますます困難になっています。
UNICORNでは、この課題を解決するために全案件でセーフリスト方式を採用しています。人による厳格な審査を通過した約1,000の健全なメディアに限定して広告を配信することで、不適切なメディアへの広告配信を根本から防ぎ、ブランドの安全を確実なものにしています。さらに、ブランドキャンペーンでは、広告主やキャンペーンごとに指定されたセーフリストで細かく運用しています。
2 )ページ/コンテンツ
二つ目は、ページ/コンテンツです。
メディア単位で健全性を確保しても、個々のページやコンテンツに不適切な要素が含まれている場合があります。たとえば、飲酒運転事故のニュースページや、妊娠中の女性向けコンテンツに酒類広告が表示されたりすると、ブランド毀損につながる可能性があります。こうしたリスクを避けるため、不適切なキーワードを含むページを個別に除外することが重要です。
UNICORNでは、テキストマイニング技術を用いて、以下のようなネガティブなコンテンツを含む記事への広告配信を自動的に除外しています。さらに、商材や広告主のブランドイメージに合わせた独自のブロックキーワードを設定することも可能で、より精度の高いブランドセーフティを実現しています。

また、UNICORNでは外部のアドベリフィケーションツールを活用し、ページ単位で不適切なページのブロックもしています。
3 )広告枠
三つ目は、広告枠です。
広告が配信される「広告枠」自体にも注意を払う必要があります。最近は、ユーザーの利便性を著しく損なう、邪魔な広告枠が急増しています。こうした枠に広告が配信されてしまうと、ユーザーは不快感を覚え、ブランドイメージに悪影響を及ぼす可能性があります。
このリスクを防ぐためには、広告主がどのような枠に広告が掲載されているかを正確に把握することが重要です。また、広告フォーマットごとに厳格な基準を設けて評価することも不可欠です。
UNICORNでは、独自の広告枠ポリシーに基づき、誤クリックを誘発するような枠や、コンテンツの閲覧を妨害する枠への配信を排除しています。さらに、広告枠の品質を評価する上で「アテンション計測」も効果的な手法です。ユーザーが実際に広告を見ている時間を測定することで、単に広告が表示されたかどうかだけでなく、ユーザーの視認性やエンゲージメントの高さを評価できます。

上記の3つの項目で、ブランドイメージ毀損を防ぐためにモニタリングすべきポイントと具体的な対策についてご紹介しました。これらの対策に加え、アドベリフィケーションツールの導入や、すでにツールを導入している配信事業者と連携することも有効です。また、そもそも広告の配信先メディアを開示している企業とのみ連携するという判断も重要です。
まとめ
オープンインターネットは、ユーザーの利用時間が長く、ウォールドガーデンをはるかに超えるリーチを獲得できる、大きな可能性を秘めた領域です。ブランドセーフティに関する懸念があるかもしれません。しかし、今回ご紹介した対策は、決してオープンインターネットだけで取り組むべきことではなく、すべてのデジタル広告において、自社の広告がどこに配信されているのか、ブランドセーフティ対策は十分か、という視点を常に持ち、見直していく必要があります。それは、ウォールドガーデンも例外ではありません。
重要なのは、出稿先がどこであれ、正しいブランドセーフティの知識を身につけること。そして、今回ご紹介した対策を徹底している配信事業者を選び、オープンインターネットでも安全な広告配信を実現すること、そして広告効果を最大化することです。
ブランドセーフティを担保した上でオープンインターネットを使いこなせば、広告効果を最大化する活用方法は豊富に存在します。